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UP'n DOWN STORY 26

The Spider And The Fly


1986年 9月 17日
その時 彼は何を想っていたのだろう・・・
ロックンロールドリーム?
それとも 発酵し始めたマイブルースを
たっぷりと時間をかけて熟成させるつもり
だったのだろうか?

いずれにしても
当時の彼は相当危なっかしい男であったに違いない
下界からはみ出していたのだ
彼はまるで蜘蛛のように
曙町のとある2階に糸を張り
ロッキン ザ ブルースを流しながら カウンターの中で
今まで会ったこともない仲間をじっと待っていた
来る日も来る日もひたすらに・・・

彼は信じていたはずだ
ロッキン ザ ブルースに犯されて
得体の知れない この世からはみ出され
あるいは 自ら飛び出してしまったヤカラがいることを
いつしか彼の思惑通りとなり
何人もが糸に引っ掛かってきたのだ
そして今彼は言う
「キープしていくことが大切なんだ」と・・・
彼は間違っていなかった

2006年 9月 17日
UP'n DOWN は唐突に20年目に突入した

裏口のメインオフェンダー

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UP'n DOWN STORY 25

アランド 再び・・・

2006 3.22
私にとって46回目、生でのジャンピングジャックフラッシュ
1981年のメモリアルコロシアムで初めて耳にしたその時に
この先、生でこの曲を聞けるのは
あと一回か二回ぐらいだと思っていた気がする
遠い昔の記憶だけどね
そして51回目の生のKEITH、
そのカッティングと顔の皴は益々深く堀り込まれ、
まだまだ見足りない私はただただ叫ぶだけ・・・
幼い子供や赤ちゃんがただただ泣きじゃくるように・・・
さすがに年を重ね、古いナンバーは懐かしみ、
そして楽しんで演奏している奴ら
私も運よく同じだけ年を重ねてこれたが、
それだけが奴らについて行くために、
唯一私にできたことだったのかもしれない
ロックンロールの神様に感謝しつつ
これからも奴らと同じ年を重ねていきたいと
そう切に願っている

裏口のメインオフェンダー

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UP'n DOWN STORY 24

OH NO NOT YOU AGAIN

ついに手にしたぜ
ビーコンシアターのチケット
もちろん今年の九月にやるストーンズのチケットだ
え? まだチケットも発売されてないのに??
なんていう奴ら, 甘いぜ!!!!!
彼らのライブチケットなんて
発売前からいい席の7割がたはもう奴らの手の中さ・・・
私は運よく前いた会社の部長のコネで
あるレコード会社にコンタクトをとり
奇跡的に確約をとってしまった!
信じられなくても当たり前さ。
でも詳しい経緯は言えないんだ・・・
とにかく私は今年の秋にニューヨークへ飛び立つのだ
メインオフェンダーツアー以来のビーコンへ!

ガチャ!
冷たい液体が私の腕にまとわりついた
どうやらジャックソーダのグラスを倒したようだ
目を開けて時計を見ると午前二時をまわっていた
明日 いや今日だ 五時に起きて仕事に行かなければ・・・
ヒデさんにうつろな視線で挨拶をおくりダイヤの扉の外へ出た
夜風にあたり目が覚めたその時
ピューと背中から何かが飛び出したのを感じた
まっとうな人生を歩もうとしているもう一人の私が飛び出したのだ
「また病気がでちまったらしいな」
そう言い、さらに奴はこう言い放った
「もうお前とはやっていけねえな・・・」

裏口のメインオフェンダー

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UP'n DOWN STORY 23

BOOTS

石畳とアコーディオンの音
ゆったり流れるマドリッドの昼下がり
熱い日差しと鐘の音
歴史が語りかけるモンジュイックの丘
ランブランスから飛び交う笑い声とグラスの音
小さなケータイからベル
街は時を止めたまま ゆきかう異国人に削られてゆく
フルーツのにおい。カタルーニャの夕暮れ…
気取った空気 かわいた雨 色のない空
エスニックカルチャー ジャパニィーズカルチャー
キラビアかなイマの、ロンドンナイト

アルエ

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UP'n DOWN STORY 22

「DEADとアタシ」

今から10年ちょっと前、
アタシは竹下通りの洋服屋でバイトをしていた
ある夏の午後、店先を歩く親子に目が止まった、、、
お母さんはジィーンズのロングスカートにウエスタンブーツ
2.3歳の男の子は、小さなウエスタンブーツを履いて
親子揃ってカラフルな絞りのクマのTシャッツを着ていた。。。
オシャレな親子だなぁっと思って見ていたら
一緒に働いていた男の人が出てきて
「あぁ、チチィーズの親子だよ」と教えてくれた。

CHI-CHI'Sは、竹下通りの真ん中あたりにある
皮物の服やヒッピーアイテムを
アメリカから自分達で仕入れているお店だった。。。
今はスヌーピータウンになってしまったが
その当時原宿駅を降りると、その場所にテント村とゆう
ロックなアイテム等を売る露店村があった
働いている人も、かなりキテル人が多かった。

(アタシが10代だったから
そういう風に見えたのかもしれない、、、)

さだかではないけど
CHI-CHI'Sもテント村からでてきた店だと聞いていた
お店に行ってみると、あのクマのTシャッツが売っていた
クマの上には”GRATFUL DEAD” と書かれていた。。。
又ある日、近くで働いている友達が一枚のCDを持って
「これ、凄くイイヨ」って貸しに店に顔だした
「あっ!」 それはあのクマのTシャツに書いてあった
”GRATFUL DEAD” だった
その日から店では
ヘビーローテーションになったのは言うまでもない・・・

それから何年かして
デッドベアーもキティやスヌーピーと同じ様に
街でよく見かける時期があった
UP'nでもおなじみの、J のつくバンドの当時のベースマンは
デッドを愛していたので、曲を知らず「デッドベアー&デッドドクロ」を
ファッションで着る若者に腹を立てていたが(元気かしら 笑・・・)
アタシも最初は曲より先にだった。。。

今年はファションブランドとベロのコラボが出回っているせいか
街でベロをよくみかける・・・
はたして、ベロT着ている若者は
”ROLLING STONES”を知っているのだろうか・・・<?>

アルエ

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UP'n DOWN STORY 21

くそったれ


いい奴が先に逝く
くそったれ…

もう会えたかい?
そんなに簡単に会えるもんなのかい?

我々は、ただ酒をかっくらって想像する
くそったれ…

世界一温もりあるタイコをありがとう
くそったれ…

君に貰ったお香は遠い昔に天に昇った
くそったれ…

君ならジミヘンとセッションできるかもね
よくUP'Nに出ていた君は、我々に幸せを届けてくれた…

謹んで、合掌

裏口のメインオフェンダー

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UP'n DOWN STORY 20

ようこそ


17 年勤めて もらった退職金 200万
たったニケ月でなくなってしまった
もちろん ケイバでやられたのだ
20 年ケイバをやり続けてまだ懲りない
きっと周りの奴らは
オイラをどうしょうもない奴と思っているのだろう
でも・・・・

あいつは 50 年以上
懲りずにロックンロールをやり続けている
懲りない男の代名詞
我々 懲りない男たちのヒーローさ
ロックンロールの神様とかいわれているけどね
不滅のスリーコード
うれしくなるぜ
どうせまた スケベなことでも考えてんだろう?

ようこそ!
 チャックベリー

裏口のメインオフェンダー

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UP'n DOWN STORY 19

横浜に行ったなら


狭くて急な階段を上ってドアを開ける。
懐かしい笑顔が迎えてくれる。固い握手を交わす。
カウンターに腰を下ろして。久し振りです。
大阪以来ですね。ヨーロッパはどうするの?
ジャックを飲みながら、ストーンズを聴きながら。
心が身体が馴染んでいく。この店の空気が好きなんだよな。

ドアが開いて今夜の主役が現れる。
やぁ、遠路はるばる。それはお互い様。凄く楽しみにしてるから。
良いなぁ、開演前の独特な匂いが漂い始めたよ。もうすぐだね。

なんだよ、今来たの。遅いよぉ。
ヨーロッパ行かないの?もう破産してるって。
始まったらさぁ、行きたくなるぜぇ。絶対に我慢できないって。
馴染の顔が集まって。アルコールと煙草の匂いが充満して。
心地良い会話のざわめきが店内を満たして。
さぁ、今夜のライブの始まりだ。

狭い店内をギターの音が切り裂いていく。
そのシャープなカッティングが心地良い。
タイトなリズム隊が身体を浮き立たせる。
バンドの、皆の気持ちが一つに盛上がっていく。
この感じ、このご機嫌な感じを待っていたんだ。
そりゃ、ジャックのロックもいつもより美味しいよな。

お疲れさまぁ、良かったよぉ。
また観に来るから。ご機嫌なロックを聴かせてよ。
あぁ、楽しかったなぁ。えっ、何?アムスに行くの。
そうかぁ。うん、グラスゴーも良いかもね。
だからさぁ、行こうよ。電話止められたくらいたいした事無いって。
尽きることの無い会話。

ご機嫌なロックと美味しいお酒と。いかした連中が集まるお店。
クールなマスターと美しい奥様が迎えてくれるお店。
「 UP'n DOWN 」、横浜に行ったなら一度は訪ねてほしい。
きっとご機嫌な夜になると思うから。
  

Funky PANDA

  

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UP'n DOWN STORY 18

The Rolling Stones in Japan Vo2


Round 45
スタジアムなれしたこの目には
まるでライブハウスのように写る武道館大ホール
Worried About You を歌う ミックジャガーは
まるで今できあがった曲を歌っているような
瑞々しさに溢れていた

Round 46
センターステージに向かうキースが
俺の手の中にあるスカーフを抜き取った瞬間は
まるでスローモーションビデオのように
ゆっくりと脳裏に蘇る

Round 47
センターステージ前乱入!
ルール違反かもしれないが かまうもんか!
今日は俺のバースデイにストーンズが
ライブパーティーをぶちかましてくれているんだからさ

Round 48
俺の身体がストーンズツアー用の体質になり
覚醒している

Round49
Thru And Thru が 今までの印象を遥かに越えた
名曲として俺の魂を揺さぶる・・・

・・・そして Round50
Monkey Man でのキースの怒りは
俺が見たキースのステージで
50回目にして初めて奴が漏らしてしまった
ライブへの執念だったのかもしれない・・・・
だが Round はまだ続く
終わりは・・遥かに先で・・・見えていない・・・・

裏口のメインオフェンダー

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<UP'n DOWN STORY 17

The Rolling Stones in Japan Vo1


待ちに待ったこの日がやってきた
世の中の寒波にもめげないゼ
そして俺は目的に向かっていく

いろんなところから仲間が集まり
めざすものは「ひとつのLIVEステージ」
ここまでくるのにいろいろなSTORYはあったけど
心の中に焼き付いたのは後悔なしの一言
俺達はまた ものすげえモノをもらっちまった

STONESのパワーはムーブするたびに
俺の体中を燃え上がらせてしまう
そして俺は STONES とともに
時代を生きているんだと実感する・・・

これだけはホントの真実なんだよ
またひとつとてつもない本物が俺に侵入してきた
これでまたやめられなくなるのさ

H I D E

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UP'n DOWN STORY 16

New York City



ネオンがギラギラしている
タイムズスクエアは眠らない街そのもの
まるで映画の世界にいるようだ
しかし通りを離れて いけばいくほど
暗くなりヒトが少ない
前から野郎があやしく近づいてくる
オレでもちょっときんちょうするぜ!!

一夜明ければ別世界の観光都市
どこに行こうが気分しだい これが N.Y か
激動の中心にオレはいる

コンクリートジャングルをただひたすら歩き続け
疲れ果てたら地下鉄に飛び乗るだけさ
最後は夜中のデリで命の水とビールを買って THE END
 
ニュージャージーで見たジョニーウィンターは
信じられないくらい変わっていたよ
彼は眼が見えず杖をつきながら・・
階段も一人であがれなかった
得意のシャッフルビートもちょっとモタり気味
オレは感じた これが最初で最後のジョニーかもしれない
とたんに涙が出ちまった
He is my hero
死ぬまで Rockin the Blues してくれ ジョニー・・

H I D E

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UP'n DOWN STORY 15

15th Anniversary 2002.Sun.Aug.25



長いようで 短かかった
近いようで 遠かった
暗いトンネルもあったが
今はうまく抜け出した
 
見えないようで 少しづつ見えてきた
そして 15年目の夏がやってきたのさ
ひとりで始めたが 今は仲間がたくさんいる
オイラのダチを紹介するぜ

「夢二」 「BLACK BIRD」 「STRAY SHEEP」
「TSUJI from THE VODKA」 「DJ HORINO」
「SOUL SUVIVOR」 「THE WOOD from 長野」
「JACK THE RIPPERS」 「内村 世志木 & 後藤 和幸」

今回は演奏しないけど
いつも UP'n でライヴをやってくれる仲間たち
それにオイラの良き飲み友達 みんな本当にありがとう
そして最後にこの15周年記念をいろいろ手伝ってくれた
UP'n Friends 心から感謝します

☆★ Let's keep a rolling at UP'n DOWN ★☆

H I D E

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UP'n DOWN STORY 14

15年の想い・・・・


(祝UP'n15周年 架空ヒデさんインタビュ−)

それは・・・・・ほんの思いつきだったんだ
先のことなど別に考えてなかった
ただの老いぼれにはなりたくなかったんだ
オイラのできそうなことを トライしてみたのさ

おかしなもんでよ 似たものどうしが
どこからともなく湧いてきてさ
知らず知らずのうちに盛り上ってた・・・・

途中で消えてった奴も一杯いたさ
途中から来た奴も数え切れない
背中にブル−ス担いでさ
階段を上ってくるんだよね
本当に重そうなブル−スを担いでさ
 
スト−ンズのレコ−ドなんて
聞きすぎでレコ−ドが磨り減っちゃてね
何度も買い換えたもんさ

誰もいない時に聞く
“ステッキ−フィンガ−ズ”と
お客さんで満員状態の時に聞く
“ステ−ッキ−フィンガ−ズ”とでは
印象が全然違うんだ わかるかい?

15年もやってれば色々あるもんだぜ
15年もやっていれば・・・・・・いい感じさ

オイラのできそうなこと
それは・・・・・
ダイヤの扉を開ければ
そこは ロッキンザブル−スって感じかな・・・・・

《2002年5月吉日 UP'N DOWNにて》

裏口のメインオフェンダ−

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UP'n DOWN STORY 13

アンラッキ−な男のラッキ−な話

彼は牛丼が安くなって喜んでいた
300円でオツリがくるとは,今の世の中捨てたもんじゃないってね
彼は1日1食牛丼を食べつづけた
ところがある日 彼は会社をクビになってしまった
彼の仕事はお米の卸問屋で,牛丼屋にもお米を卸していた
牛丼屋が値下げするために,そのお米問屋は卸し値を
大幅に値下げしなくてはならなかった
売上が減ったためしかたなくお米問屋は
人件費を減らすことを考えた
そして彼がクビになった・・・・
彼に,クビになってから話を聞くと
今失業中だけど 牛丼が安いから助かっているという
今も1日1食はかかさないらしい

ヒデさん 彼はラッキ−だと思うかい?
どう考えてもアンラッキ−だと思わない?
でも彼は,助かっているんだからラッキ−かな?やっぱり・・・
もう少し飲まないと答がでてこないね
・・・でも,キ−スだったらラッキ−だと考えるだろうね・・多分・・・

裏口のメインオフェンダ−

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UP'n DOWN STORY 12

こんなはずじゃなかった

A:凄いスピ−ドで科学が進歩したよね
E:本当だね、世の中 随分と便利になったもんだよ
A::遠い所でもすぐ飛んでいけるし、
  どこにいても誰とでも話せるしね
E:でも最近は悪い奴らが結構多くて
  やばいことに科学を引っ張りだしやがったんだ
A:あ〜知ってるよ、そっこらじゅうでテロリストが暴れている
E:まあやられたらやり返すらしいけど、
  どんどん地球が破壊されていくんだよ
A:ハイテク兵器でそっこらじゅう穴ぼこだらけらしいぜ
E:泣けてくるね こんなはずじゃなかったのに
A:まったくだ こんなはずじゃなかった・・・

ちびりちびりやりながら、
アインシュタインとエジソンは
ここに最近やってきた
ジョン・リ−の生演奏に涙していた・・・・

ヒデさん こんな話を風の便りで聞いたんだけどさ
俺たちの人生も、こんなはずじゃなかったかもね
でもさ、何処にいってもちびりちびりやりそうだね。
彼らみたいに・・・

裏口のメインオフェンダ−

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UP'n DOWN STORY 11

Summer time up'n down

夕立ちでぬれた髪のままゴロンと畳みにころがる
折良くすだれ越しに風が入ってきた
脳天から足の裏まで涼しい風が吹き抜ける
ほろ苦い水のにおいがする

夏は水のにおいがいい
新鮮な野菜にザクッと包丁をいれたり
草や花のくきをチョンと折ったりする瞬間に
生命力にあふれたさわやかな香りが鼻をくすぐる
夏のささやかな幸せ

父は夏には必ず玄関に打ち水をしてた
母は米のとぎ汁や野菜を洗ったりした水を
庭の草木にまいて、水たちはもう一度土へ帰っていた
暑い一日が終わり夕暮れがやってくる
薄く淡く静かな夕闇にまぎれて水にぬれた静物は
生まれたての神秘的な躍動感をもって
怪しいほど美しく輝いていた

ほろ苦い水のにおい
目をとじて深呼吸

wrote A

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UP'n DOWN STORY 10

Heartbeat

 

真夜中の雨は 街のざわめきをさましてく
水たまりにはねかえる ネオンの光
明るすぎる街並 すれ違う人々が 孤独をいざなう

明日には世界が変わるさ そう思い続けてどのくらいたったのか
いつも同じ事の繰り返しでいくつもの同じ夜を過ごして

行きつけのBarは顔見知りで賑わってて
グラスに輝く ブラックライト タイトなリズム
華やかな旋律が孤独をいざなう

明日には世界が変わるさ そう言い聞かせてどのくらいたったのか
いつも同じ事の繰り返しでいくつもの同じ夜を過ごして

悲しみを街の喧騒でごまかすのはやめよう
心の隙間をジョークで埋めるのはやめにして

二人で迷路を歩こう
いくつもの喜びと悲しみを抱きかかえて

偽りのぬくもりに囚われて眠るのはやめよう
気休めの愛で永遠を語るのはやめにして

二人で夜を過ごそう
たったひとつの夢と誇りを抱きしめながら

FROM SANSHIROU

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UP'n DOWN STORY 9

メモリ−バックドア−

真冬のニュ−ヨ−クは
マイナス10度の凍てつくところで
夜中の12時ともなればとても正気じゃいられねえ
ビ−コンシアタ−の裏口で
千切れそうに痛くなった耳を押さえながら
俺はひたすら奴を待っていたんだ

一人の客として来ていたピ−タ−ウルフは
俺の肩に手をまわしてとっておきの
ロックンロ−ルフェイスをうかべてくれた
スティ−ブジョ−ダンはイエロ−キャブで暗闇に姿を消し
ボビ−キ−スはステ−ジ衣装を大事そうに抱えて出てきたよ
でも俺が待っているのはもっと大物でそう簡単には近づけない
俺はひたすら奴を待っていたんだ

黒いレイバンのサングラスに
真っ白のスカ−フを身につけた奴は
いかつい男どもに囲まれて最後の最後に出てきたんだ
その道のプロフェッショナルなのか 手際よく一人の男が 奴に近づき
車に乗り込む寸前にサインをもらっていやがる
こうしちゃいられねえ
俺だってこのチャンスを逃すわけにはいかない
俺はひたすら奴を待っていたんだ

ソ−ホ−のみやげ物屋で買った
スト−ンズのポストカ−ドを差し出して
サインをしてもらった瞬間!
奴のドクロと俺のドクロが重なり合った・・・・
いかつい男に突き飛ばされて凍りついた道の上にしりもちをついた
暗闇に消えて行く奴の乗った車を呆然と見送りながら思ったんだ
思いは必ず伝わるってね・・・
ヒデさんどう思う?
思いが必ず伝わるってことは・・・・
俺やヒデさんが奴のことを思いつづけていればだよ
いつか夜更けにUP'nのドア−を奴が開けて
一杯やりにくるってことにならないかい?
まさか・・・・

裏口のメインオフェンダ−

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UP'n DOWN STORY 8

マディのブル−ス

1杯目 『カナディアンクラブ』
 たばこを吸おうと思い
 ポケットをまさぐったんだが
 どういうわけかみつからない
 まだそんなに酔ってないはずだが・・・・

2杯目 『カナディアンクラブ』
 たばこを吸おうと思い
 ポケットをまさぐったんだが
 どういうわけかみつからない
 いつも胸のポケットに入っているはずなんだが・・・・
 少し酔ったのかもしれない

3杯目 『カナディアンクラブ』
 たばこを吸おうと思い
 ポケットをまさぐったんだが
 どういうわけかみつからない
 ポケットにいつも必ず入っていたのに
 突然消えちまった
 音もたてずに
 もう一度手を突っ込んで探してみたが
 ポケットは空だった
 あと一杯にしておこう

4杯目 『ハイリキ』
 たばこを吸おうと思い
 ポケットをまさぐったんだが
 どういうわけかみつからない
 ポケットに手を入れれば必ず何かを引っぱり出せたのに
 どういうわけか何も引っぱりだせなくなっちまった
 クッソ−!相当酔っちまったな
 ジッポウすらみつからない・・・・

5杯目・・・・はやめた
 ヒデさんに100円ライタ−をもらい
 店をでることにした
 何度も同じことを繰り返しているような気もするが
 考えるのはよそう
 店の階段を降りると
 後ろから今まで聞いたこともないマディのブル−スが
 聞こえてきた・・・・

裏口のメインオフェンダー

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UP'n DOWN STORY 7

I believe Rock'n Roll

UP'n DOWNが初めてステージを作った時のことを、
なんとなく思い出したんだけど、よかったら聞いてくれる

初期のUP'nはステージはなく、今のカウンターが
突き当たりの壁まで一直線につながっていたのさ

その時のオレの相棒は「アップンのドアマン」こと
「はだしのN氏」だったんだけど、毎日ふたりで店を
やりながらヒマぶっこいて、飲んだくれていたんだ。
しかし、世の中なにがおこるか解らないものだね。
いきなり『ドッカ〜〜ン』とスゴイ音がして
ナンダコリャーと外に出てみたら、
「♪オレはビックリしたぜ♪」
どっかのあんちゃんがオレの愛車を先頭に4、5台
オカマをほっちまっていた・・・
みんな、なんとなく先が読めてきたでしょう

オレは愛車とひきかえにUP'nのステージを
手に入れたってわけさ
飲んだくれてたオレとはだしのNは
ステージを作ることができて、
ジャカジャカGUITARを弾きだすことになるんだよね
そのうち周りのミュージシャンたちが、アンプやスネア
そしてマイクまで持ってきて・・・
ついにUP'n DOWNのRockin' the bluesが動きだしたのさ

HIDE

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UP'n DOWN STORY 6

ダイヤの向こう側

カウンターの左端に座ってダイヤの窓に目をやる。
時たま、ドアのそばに近寄ってオレンジ色したダイヤ
の向こう側を見下ろす。初めて、この店を見つけた時、
スーっとこのドアに吸い込まれていったのを
今でも憶えている。

創業以来、変わってないのはこのドアと
右奥に張ってある世界地図ぐらいのもんだろう。
ドアのデザインはもちろんヒデさん。
私がこの店で一番好きな場所である。
今まで、数え切れないほどの飲んだくれが、
このドアを開けて去って行ったのだ。

最近は見かけなくなったけど、初めてのお客さんが、
ドアを開けるのに手こずってガチャガチャやったり、
しまいに開かないんで帰っちゃいそうになったりとか
よくいたね。とってもアンティークなドアノブだから
最初とまどっちゃうんだよね。でも不思議なもので、
真の飲んだくれとか、アル中とかはスンナリ一発で開け
ちゃうんだよね。

ダイヤの向こう側を夢見てかどうか知らないけど、
戸惑う事なくまるでなじみの店の様にスーっと入ってくる。
それも決まって夜明け近くなんだよな。
そういえば昔こんなBLUESを歌ってる奴がいたな...

「それが知りたいなら、それが知りたいなら、
夜明け近くにドアを開ける奴の顔を見ろ...」

話が少しそれちゃったけど、
とにかく今夜はこのダイヤのドアに乾杯させてもらうよ。
いつもごくろーさん、これからもよろしく。
ところで、キミはスンナリ開けれたくちかい?
ちなみに私は戸惑うことなくスーと入ったくちだからね。
じゃっ、また。

10/2000 ☆アップンのドアマンより☆

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UP'n DOWN STORY 5

“ドクロの数は?”

俺の記憶によると、おっとその前に、
今回の『俺』は、実はヒデさんじゃないんだ。
UP'Nの常連の一人である俺は、まあ〜そうだな、
『裏口のメインオフェンダ−』とでも呼んでもらおうか・・・・
で、その俺の記憶によると、たしか5年くらい前のことだと思うんだが
あのSTONESが二度目の来日公演を東京ド−ムで
7回くらいやった時のことなんだけど・・・・

UP'Nの常連さんたちも連日連夜、入れ替わり立ち代わり
ド−ムへ押しかけたわけさ。そして、帰りに必ずUP’Nに
立ち寄るんだけど、みんなまともに声が出ないんだよ。
叫びすぎってやつ。毎晩のようにSTONES帰りの
誰かがやって来ては、今日は『メモリ−モ−テル』をやっただの、
今日は『スイ−トバ−ジニア』やっただのって、
そりゃ〜もう大変な騒ぎだったよ。
7回完全制覇なんて奴も何人かいたな。それで毎晩UP'Nで
ドンちゃん騒ぎってわけ。仕事してんのかね、こいつら?

でもよくここまでSTONES馬鹿が集まったもんだよ。
俺もかなりのキチガイだけど、
一つ困っちまうことがあるんだ。やたらとドクロが多いんだよね。
例のKEITHのトレ−ドマ−クさ。その馬鹿どもがどっかに
必ずドクロを忍ばせているんだな〜これが。気持ちはわかるけどね。

こいつらがどのぐらい馬鹿かっていうと、KEITHそっくりの
5弦ギタ−を特注で作って、まったく同じ音で演奏する奴とか、
KEITH人形を作ってロンドンまで行って、最前線から
KEITHにプレゼントしてうっとりしてる女の子とか、
この俺様もKEITHのステ−ジを40回以上体験してるんだぜ、
まったくほとほと馬鹿どもさ・・・・

今度UP'Nの店内で、ドクロを数えてみなって。
両手じゃ足らないと思うぜ・・・・・

9/2000 裏口のメインオフェンダ−

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UP'n DOWN STORY 4

Deep in the night

ある日の夜中にひとりで来た男が、カウンター越しに
俺の前に陣取りジャックを飲み続けていた
そこまではいいんだけど、10杯目ぐらいかな、急に
「KIETH! キース! キ〜ス!」と叫びながら
コンクリートの床にぶったおれた。
一応カウンター越しにのぞいてみたんだけど、
血は流れてないし、体も動いているようなので、
そっとしておいてあげることにした

周りの人間も、そのヒトをうまくまたぎながら出入りしたり、
移動したりしているので、何も問題なし。
こういうのを UP'n ではオブジェ状態と呼んでいる

たまたまその夜はエジンバラ出身の友が来ていたので、
聞いてみたんだ
「ねえ!エジンバラの BAR はいつもどんなかんじだい?」
「このテのパターンは、毎日のようにあるよ」

なるほどね! どこの BAR も同じようなものなんだな!!
と、思ったのさ。

8/2000 Hide wrote

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UP'n DOWN STORY 3

Ballad of Rockers

UP'n のカウンターは全部木で作ってあって、真直ぐに長いんだよ。
それで高さも、肌触りも so good なんだ。
だから…みんなよく寝てしまうんだな。
それがまたハンパな寝かたじゃないんだよね、
ようするに爆睡(バクスイ)状態なわけよ。

モチロン一番よく寝ているのは、このオレなんだけど…
よく入ってきた客に、起こされたりしてさ!

というわけで…夜も遅くなってくると長いカウンターの
右や左でMan や Woman たちが「眠り」はじめるんだな、
もうそーなるとなかなか起きないョ。
そのうち、カウンターのうえで「寝返り」をうつんだよね。
その時に必ずビールやらバーボンのグラスをぶっこぼす、
顔がびちゃびちゃになってもまだ起きない、
最後にカウンターからビンやグラスが落下して…
ガチャ〜ン!という音で目を覚ます。

そしてカウンターにはたくさんのブルースがしみこんでいくのさ、
彼らのみる夢が悪夢でないことを祈る。

6/2000 Hide

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UP'n DOWN STORY 2

too enough

UP'n DOWNには、STONESのロニーが描いたキースの絵が飾ってあるんだぜ。
この絵を見ると思い出すんだけど、
このゴキゲンな絵は、ある男からの贈り物のようなものなんだ。
彼との出会いは忘れもしない・・・

ある夜、彼は吸い込まれるように店に入ってきた。
そのイデタチがまたユニークで、レンズのブ厚いメガネをかけ、
スーツなんだけど、中に着ているのは、Yシャツじゃなくて
ブライアンのTシャツ。手にはボストンバック・・・

うけたオーダーは、ウィスキーの水割りと、アタリメだった。
けっこういいよね!こういうのって!

「どうしてココに来たの?」なんて変な質問をしたんだけど、彼が答えるには、

『この近くのBARでひとり飲んでいたら、となりの客たちが
”STONESの店があるからそこへ行こう”というのを小耳にはさんだ。
自分も急いで立ち上がり見知らぬ男達の後をつけて、この店にやって来ました。』

という話しだった。なかなかヤルな〜!

その後、彼はこの絵を持ってやってきた。
『自分が持っているより、UP'nに飾ってもらったほうがイイから・・』

といって置いていったんだ。ここ数年会ってないけど元気かな?
そのうちまたひょっこり現われると思うけどね。
ブ厚いメガネの奥の小っこい目を、忘れちゃいないぜ!

5/2000 Hide

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UP'n DOWN STORY 1

Prologue

 

“ヒデさんってやっぱり暴れん坊だったんでしょ?”
「…い、いや、全然…」
いきなり俺の聞き込みとは違う答えが返ってきた。
馴れない“取材”などという形をとった為、お互いまだギクシャクしている。
…少しずつ距離を縮めよう。

それにしてもここの店内はえらく細長い。
トイレの通路は階段の脇にある為、 横歩きでないと通れない。
この辺の気の強い奴らがトイレの出入りで揉めやしないか心配だ。
…この場合やはり入る奴が勝つんだろうな…

うなぎの寝床とはこの事を言うのか。しかし、ここは京都ではない、横浜だ。
ライブのある土曜日になれば、狭い店内が地元のブルース、ロック好きで埋まる。
ヒデさんもそんな連中とここで過ごすのを楽しんでいる。

“もし家にいるのがつまらなくて外へ出たい時、どこも思い浮かばないなら、
音楽好きの人は一度UP'n DOWNを覗いて欲しい。”

ヒデさんの伝言を書き留めたところで今回はここまで。

2/2000 kusaya

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